RSS update information - 釣りサンコラム:釣りサンデー
チヌ釣りの超精鋭集団・瀬戸竿鬼会を率いるダンゴ釣りのオニ。地元香川県女木島で一日釣果101匹、愛媛県御荘湾で最大実寸62cmの記録を持つ
ダンゴ釣りの未来について…現状で満足するなかれ!
ここ2度、3度とエサ取りの前にボーズが続き、手も足も出なかったワチキ。そなたの限りない貪欲さに、元気いっぱいの振る舞いに、ただただ感服するしかなかった。俗にエサ取りに強いとされているダンゴ釣りではあるが、近年のそのダンゴ釣りをもってしても歯が立たないポイントが増えつつあることは、確かである。
十年を「ひと昔」というなら、「ふた昔」ほど前は、まだまだ誘いを中心とした、底を切るダンゴ釣りで釣りが成り立っていた。だがそれから時が流れた現在はどうだろうか? 底を切って誘う釣りでは到底太刀打ちできる状況ではない。仕掛けをハワせ、誘いをなくし、ただひたすらにサシエの保護に重点を置いた「ハワセ釣り」でないと、釣果が伸びない時代になっている。
そう思うと「ふた昔」の間に、海の中は大きく変貌してしまったことになる。これすべて、魚の学習と、増殖したエサ取りがもたらした結果といえるのではないだろうか。ではこれから先の5年、10年先の未来のダンゴ釣りはどのように変わっていくのだろうか…と、見えない未来に不安さへ覚えてしまう。
私の思いすごしかも知れないが、ダンゴ釣りの行く末は画期的なサシエサの出現か、画期的なダンゴ釣りのスタイルが出現しなければ、衰退の一途をたどる釣りになるのではないかと思えて仕方ない。海の中は私たちが想像する以上に日々変化、そして進歩している。しかし、このダンゴ釣りはここ「ふた昔」ほど前からこれといった進歩が見えない。
自分の釣りを頑なまでに守ろうとする、守りの姿がダンゴ釣りの行く末を進歩のないものにしているように思えてくる。時の変化に、海中の進歩に柔軟に対応していかないと、取り残されて「釣れない」という現実を突きつけられる日が、近い将来に必ず訪れるような気がする。
「ふた昔」前にはチヌが3ケタ釣れることも珍しくはなかった。底を切った誘い中心のダンゴ釣りで面白いようにチヌは釣れた。でも現在の状況は、エサ取りの猛攻に釣果は伸びず、貧果にあえぐ釣行が続いている。ダンゴの割れる時間をコントロールしても、ハワセ幅を極度に長くしてサシエの誘いを止めても、最強と思っていたハワセ釣りでも限界を感じている。これからのダンゴ釣りの行く末はどうなるのか予想すらたたない。ひょっとすれば最強と思っていたハワセ釣りも、もう時代遅れの釣りになりつつあるのかもしれない…
では画期的なサシエサ、釣り方とはどのようなものだろうか? これは私が想像する愚策、俗説にすぎないかもしれないが、当たらずともまったくのピンボケの外れではないのではないかと思っている。まずサシエサは鉄か鉛に匹敵する、取ることができないエサである。エサ取りに強いといわれるコーン、オキアミボイルなどは近年の強じんなエサ取りの前では屁の突っ張りにもならない。
コーンなど、フグの攻撃にあえば一撃で5、6粒の小さいコッパに粉砕される。いうなれば一撃でハリから落とされることを意味する。ネリエサ、イソガニにしかり、一瞬にしてハリから落とされてしまう。私の愛用する天日干しのハリに刺さらないほどのかたいオキアミでも同様である。いうなれば鉄か鉛に同等する、食いちぎれない強じんさが必要であろう。しかし、想像はできてもこれといった的確なエサが見当たらないのが現状である。
そして画期的な釣り方とは、第40投に登場した「シンちゃん」が愛用する「芯ちゃんダンゴ」釣法である。ダンゴ釣りの世界では悪い例としてよく登場する芯残りしたダンゴだ。しかしダンゴ釣り師の中でも、このサシエを中心に小さく残った「芯ちゃんダンゴ」になっているケースは多い。
細かい砂を使用して、水分の少ないダンゴを力の限り握っているダンゴは、ほとんどが芯残りしているといっても過言ではない。しかしこの芯残りしたダンゴを気づかって、食って来てくれるのが、優しい優しいチヌなのだ。サシエがダンゴから飛び出せばまずかすめ取られてしまうサシエでも、芯残りした状態ではエサ取りは手も足も出ない。サシエを中心として芯残りしたダンゴは、アメ玉より大きくかたいダンゴ状になっているので、小さな口の魚には芯ちゃんダンゴは合わない。大きな口をしたボラ、チヌしか食ってこられないのが現実だろう。
ボラもチヌもダンゴにアタックしてくる。そして、徐々に小さくなったダンゴもろとも食って来ているのが現状である。ただボラの場合は歯がないので吸ってくるのに対し、チヌは小さくなったダンゴをサシエもろとも食ってくる状態である。そう思うと、幾年後かにエサ取りがいま以上に勢力を増し、サシエの種類やハワセ釣りでは太刀打ちできなくなった頃、ひょっとすれば芯ちゃんダンゴの時代が訪れるかもしれない…と、私は真剣に思っている。
そのため私は故意に芯ちゃんダンゴになるようにダンゴを作り、その釣りを練習している。現にここ数回の釣行で釣った数匹のチヌは、ハリにサシエを付けないカラバリをダンゴに包んだ状態で釣れてきた。そしてこのダンゴもろとも食ってくるチヌは、良型のチヌが多いのも特筆した点である。日々進化する海の中、いまの現状に満足していたのでは、あなたの釣りも、私の釣りも、時代遅れの釣りになりかねないのでは? と海からの声が聞こえてきそうだ。
釣友たちが近頃どんどんアジンガー(オジンガー)化して行く現状に戸惑いを覚えながらも、ひとり孤塁を守る覚悟の餌釣り派。オキアミとアミエビの匂いに執着あり?
常に最悪の事態を想定せよ!危機管理問う夜のしじま
魚信にすっかり見放されてしまった夜は、釣り座でフトこんなことを考える。もし今ここで、津波をともなうことが予想されるような強い地震に見舞われた場合、どう行動するべきか?
普段行きつけの釣り場ごとに、おおよその避難場所は頭に叩き込んであるつもり、ではある。宇和海は、海と山とが隣接する特有の「リアス式海岸」。万一、強い揺れに襲われたり、ケータイの緊急地震速報がなったりしたときは、すぐに間近の峠道や山の農道へとクルマを走らせればよい。
自治体などによって取りつけられた、南海地震による津波の想定高さを示す看板。あくまでこれは「想定」なのであって、「想定外」もあることを、そして、有事の際にこの電柱が経っているのか…ということまでも想定しておく必要がありそうだ
だが…考えが甘い! のであった。3月11日のあのニュース映像に、すっかり洗脳されてしまっているのである。津波の恐ろしさのことしか頭に入ってないのだ。その前に当然起こる強い揺れによって、高台の道路や、そこに至るまでの海岸道が土砂崩れ、あるいは海中崩落によって寸断されてしまっている可能性についての「想像力」が、まったくもって欠けていたのであった…反省。
ひるがえって最近の当地では、海上保安部や自治体の職員の手によって、釣り場や住宅地の電柱に、南海地震によって引き起こされる津波の想定高さを示す看板が、取りつけられているんだけど、コレもどうなるんでしょう?
それらの電柱には、震度6とか7に襲われても倒れないだけの十分な耐震強度があるのだろうか? ん?「地震が来る前にあらかじめこの想定高さを見て、頭に叩き込んでおきなさいね」という意味なのか? 「南海地震によって宇和島港に押し寄せる津波の想定高さは4m。あなたの住む町の海抜は3m。よってこの高さ(1m)の津波が想定されます」という、ウチの近所の電柱にはられた『津波避難看板』って、ほんとに信じてもよいのか? すぐそばを、河口から1km弱の市内一の大きさの川が走っているんだけど…。
かつては週刊釣りサンデーの表紙を飾ったこともあったアノ人も、最悪の事態を想定できなかった行動のせいで…
「我々はこうやって、想定値に忠実に基づく注意喚起だけはしっかりと行っておきましたからね。イザというときには、その時々の皆さん個人の判断に基づいて避難してくださいね。万一、想定以上の高さの津波に襲われた場合は? ですってぇ? 想定以上の高さの津波による被害につきましては、我々は責任を負いかねます」と、つまりはこういうことなんでしょうか。なんでしょうねぇ。
以上の考察から、われわれが学ぶべき教訓とは何か。①イザというときに他人(この場合は国や自治体)が自分の身を守ってくれると考えるのは大マチガイ。②常に最悪の事態を想定しながら行動せよ。といったところだろうか。②なんてほとんど、さる業界の兵法である。
先日のこと、書架の整理をしていたら、まる9年前の週刊釣りサンデー11月10日号が出てきた。自身の波止グレ釣行レポートが掲載された号だったので、古紙回収に出すことなく残しておいたのだろう。同号の表紙に登場していたのは、アオリイカを釣り上げてごきげんポーズのS田S助なのであった…。
関西を代表するトップエギンガーであり、ライトルアーゲームも得意。フットワークの軽さも特筆もので、大好物のコーラを飲みながら西へ東へ、ロッドとともに走りまわる日々。近況はブログ「弓削ちゃんの今どこ?」でどうぞ
二十の湯【ナイトエギング2】ライトでサイト!? 決め手はやはりショートピッチジャーク
毎度です、弓削です。前回はナイトエギングにおける、暗がりでの効果的な釣り方「ショートピッチジャーク」を紹介しました。今回ご紹介するのは同じくナイトエギングでの、ライトを使ったサイトフィッシングです。ヘッドライトの明かりを使います。10月15日に日本海へ釣行した際、昼間に港内で小型のアオリイカが数見えたので、日が落ちてから試してみました。ヘッドライトですが、明かりの調整ができるものでは5mほど沖の表層で、餌木が見える程度に調整します。この際、スポットより広角にしておきます。
まずは防波堤の基礎部分の調査から。ヘッドライトを点灯したまま少し沖にキャストして餌木を沈めます。着底したらラインが弛むのでわかります。次に軽いシャクリ3回で餌木を浮かし、カーブフォールで次にラインが弛む時間を数えます。再度同じことをして、数が急に減る場所を見つけます(その間にもバイトがあればもちろん合わせます)。
2~3回試せば基礎部分の最初の位置(かけ上がりとなっているところ)が把握できます。基礎の最初の部分がわかれば、そこでショートピッチを使って餌木をシャクリ上げ、何回で海面直下に上げられるかを数えます。このあたりまでは前回と同じです。ただ違うのは、その後もライトを点けたまま行います。明かりの内側に餌木の頭の部分が見えるように浮かせます。アオリイカを直接見るのではありません。あくまで餌木の頭だけです。
浮くと餌木は手前にスライドしてきます。この時にはあごを引いて、明かりの輪を手前に持ってきます。やはり餌木だけを見るようにします。横から見ているほかの人はアオリイカも見えますが、本人はアオリイカが見にくいのです。アオリイカが餌木を抱けば、餌木が消える、もしくはバックします。消えた場合は強めに合わせます。バックした場合は軽くロッドを立てるだけです。触腕掛かりが多いので、強く合わせると切れる場合もあります。夜のサイトフィッシングでは、アオリイカは現れると意外とすんなり抱くので、手返しよくおこないます。
ヘッドライトを使ったナイトエギングでのサイトフィッシング。ランタンを使っても可能で、その際は半分をアルミ箔などで遮蔽すると、自身が眩しくなくなり使いやすい
ヘッドライト以外でラインを見るなら、ランタンを足もとに置く方法もあります。ランタンは半分を遮蔽すると、自身が眩しくなくなり使いやすくなります。置く位置は竿先か股下です。メバル釣りの際、ライズを起こすのにも使えます。
さて、この釣りの注意点を書いておきます。①餌木を浮かした状態では、ロッドは水平保持になるように。②ライトは餌木のみ見るように。③昼のように強いシャクリは必要ありません。飛び出した場合危険ですから軽いシャクリで。④海面まで浮かした際は餌木が沈まないようにラインスラックは素早く巻き取る。
この釣りに欠かせないのが「ショートピッチジャーク」です。最近では多くのアングラーが出来ているようですが、最近はじめた人ではまだぎこちないよう。使い道が多いシャクリ方ですので、ここで要領を書き記します。
【ノーマルショートピッチジャーク】
餌木をキャストし、着底させたらロッドを11時の位置から1時の位置まで強くシャクリ、素早く11時まで戻します。この時にリールのハンドルを1回転巻き、ラインスラックを取ります。続けてロッドを1時までシャクリ11時まで戻す時に、ハンドル1回転巻く…これを連続すればダートタイプの餌木は左右にダートします。注意点は2点あり、1点はロッドを起こすのも素早くですが、戻すのも同じくらい素早く、ということです。そうすれば強制的に餌木を引っ張っているのを開放し、餌木は横にダートします。もう1点はロッド角度です。遠くではロッドは立ててラインとロッドティップの角度は90度です。近くに来たらロッドは9時の位置から11時の位置となります。遠くに餌木がある場合、9時の位置から11時の位置では上下の振り幅は同じでも、餌木に伝わるパワーは違います。より餌木をダートさせたいなら、ロッドの振りパワーを伝えるために、竿を立ててシャクリをします。
【素早いショットピッチジャーク】
キャストし着底させたら、ロッドを11時の位置から1時の位置までシャクリます。このシャクリ時に、リールのハンドルを半分巻きます。上から下にです。次にロッドを戻す際、リールのハンドルを半分巻き上げます。下から上にです。結果的には1シャクリ1回転ですが、内容は違います。餌木の頭はクイックに曲がります。連続するとダート幅は小さいですがクイックな動きで、秋などに小イカの活性を上げるのに向いています。
【下竿でのショートピッチジャーク】
表層引きでアオリイカを寄せる場合に使います。餌木をキャストして着水後2~3m沈めたら、ロッドを9時の位置から7時の位置まで海面を叩くように動かし、すかさず9時の位置まで戻します。夏の鹿児島の離島や、秋にアオリイカを寄せる場合に使うことが多く、活性を上げるときにも使います。防波堤では岸壁を叩かないように注意してください。ガイドが割れ、ラインが切れるおそれもあります。低い磯ではロッドを横に寝かせて使います。立て竿では餌木が海面から飛び出す場合もありますので、下竿や横竿で演出します。
【番外:大きく動かすジャーク】
ロッドは9時の位置から1時の位置まで一気に起こします。戻すときにハンドルを2回転させます。ショートピッチとはいいがたいですが、4号以上の大型餌木を左右にドーン・ドーンと動かすのに向いており、初冬の深場で餌木を動かし、大きなアオリを誘うのに向いています。なお余談ですが、餌木を海面で20~30cm飛ばして誘う方法もあります。これをするとアオリイカの活性を一気にMAXにさせることも可能です。
フライ、ショアジギング、投げ釣り、波止釣り、アユなど、ジャンルが異なる様々な釣りをたしなむ根っからの釣りマニア。釣りバリメーカーに勤務しており、釣りバリへの知識は深い。
ハリと糸の結束をつかさどる重要部――タタキについて
今回はチモト部にある「タタキ(耳)」ついて話を進めさせていただきます。まずチモトというのは、ハリスを結ぶあたりのことを大まかに指していう俗称のような表現で、糸を結んだ状態でこう呼ぶことが多いようです。このチモトの上にあるのが、結んだ糸をとめる(スッポ抜けなくする)ためのタタキです。タタキは文字どおり叩いて製作するため、こう呼ばれます。実にシンプルではありますが、結んだ糸が抜けないようにするための、必要十分な機能を担う部分です。
ハリスを結ぶチモト部の上、結んだハリスをとめるためにあるタタキ
糸を抜けなくするためには、タタキが大きければ(面積が広ければ)いいというものではありません。1本の軸から叩き出して作るものですから、大きくしすぎれば、その分叩きの厚みが薄くなり、ハリスが触れ、切れやすくなります。かといって小さければハリスが抜けやすくなりますので、対象となる釣りのハリスを想定して、最適なサイズに設定しています。例えば、チヌバリの2号にはハリス1~2号が見た目にもしっくりくるようになっています。
一方で、あえてタタキを小さく(小耳に)設定する場合もあります。エサとのバランスや、使用ハリスの兼ね合いがその理由です。
例1.「遠投ハヤテ」
このハリは当時オーナーばりでチヌフカセ釣りのテスターを務めてくださっていた広島の大知昭氏が監修してくれたもの。エサにオキアミではなく、サシアミを使うような場合もあり、タタキをできるだけ小さくしたいとの試行錯誤から生まれたもので、「小耳」と呼び、使用想定ハリスもやや細目です。
タタキの大きさや形状は、釣り方やターゲットなどによってさまざま。ハリ職人が心血を注いだ最適なものが採用されている。上は本文でも紹介した「遠投ハヤテ」と「PEブリワラサ」
例2.「PEブリワラサ」
このハリは「小さなハリに太いハリスを巻きたい!」という要望にお応えしたもので、やや特殊な機能を持つタタキです。PEとは、PEラインのことではなく、「プラスエッジ」のことで、タタキのサイズを拡大しつつも薄くしなくてすむ加工です。これによって小バリに太いハリスを巻くことが可能になりました。
もちろんルアー系のフックの場合は「カンつき」と呼ばれるタイプが主流ですが、カタログの中のハリのほとんどは、いまだにタタキがあります。釣りは、糸とハリのふたつがあってこそ。小さな部分ですが、その糸とハリの結束をつかさどる大切なところですね。さて、今回で釣りバリの解説は最終回。数回の短い連載でしたが、また何かの機会にお会いできたらと思います。ありがとうございました。
チヌ釣りの超精鋭集団・瀬戸竿鬼会を率いるダンゴ釣りのオニ。地元香川県女木島で一日釣果101匹、愛媛県御荘湾で最大実寸62cmの記録を持つ
とある島での悲喜こもごもワン・デー・ストーリー
こんな日があってよいのだろうか…? と思えるほど、その日の私はさんざんな一日だった。不幸と惨事が次々と訪れ、途方にくれた。今回のコラムは、そんな私に襲いかかってきた不幸、惨事の物語である。
10月のある日、私は朝一番でとある島に向かう定期船に乗り込んでいた。気持ちは新地のポイント開拓に高まっていた。船のデッキにあるベンチに腰掛け、見えないドラマを体中で感じていた。ここまではよかったのだが、船の出船時刻が迫った頃、急に船内が賑やかになってきた。「キャーキャー、ワイワイ」と幼い子供の声があっちこっちで聞こえ始めた。
そうこうしていると子供たちがデッキにまで押し寄せてきた。リュックを背負い、水筒を持ち、どうも幼稚園の遠足のようである。船内を走り回る、カン高い声ではしゃぐ、あげくの果てには私のアンヨまでふんづけていった。
オシャマな女の子が「おじちゃんおはよう」と寄ってきて話しかけてきた。「フーン釣りに行くんだ」「なにを釣りに行くの?」と、その話しのお相手をしていると、どんどん子供たちが増え、「ブラックバス釣りに行くんだ」「違うよ、今はサンマが釣れるんだよ」と、お兄ちゃんが釣った魚や、魚屋に並んでる魚が主人公の井戸端会議になってしまった。
好き放題、言いたい放題に、私はよいように弄ばれ小さな子供たちに翻弄されてしまった。20分ほどで最初に寄港した島で子供たちは降り、船内は一気に静けさがもどった。やれやれである。そしてまた20分ほどで、次の島である目的の島に到着した。私は船を降り、リュックを背負い、キャスターを引っ張り目的のポイント目指す。
どれほど歩いただろうか? 「ガチャン」という衝撃とともに引っ張っていたキャスターがこけた。後ろを振り返ると、地元の住民らしい老婆が「お兄ちゃんハマ(車輪)が取れたで」と、キャスターから外れたハマを持って、直立不動で立っておられた。何たる一大事ではないか。後生大事に5年余り使ってきたキャスターが壊れたのである。
それにもましてダンゴ釣りの移動には必要不可欠、かつ生命線の便利グッズなのに…仕方なく目的地までの数百mを2往復して、重いダンゴの道具を運ぶことになってしまった。だがこの不幸、惨事はこれから始まる助長にすぎなかった。釣りを始めようとロッドケースを開けると、ダンゴを投入するシャクが入っていない。ダンゴなどここ10数年来、手で投げたことがない。手で投げるなどという、そんな重労働な釣りなど私にはできな…だがここまで来たからには仕方ないと、この日は終日、数百投のダンゴを手で投げる羽目になった。
人のご厚意を受けたものの、一時は手中にできないと諦めたチヌ。網で魚を上から押さえ込んできたのはこの老人で3人目であった。網に納まるまで時間がかかったので、歯を食いしばってチヌの抵抗に耐えた。その結果、御荘町で大チヌとのやり取りの際、折れて治療したサシ歯がポキリと折れた。前回は吐きだしてしまったが、今度は生唾とともに飲み込んでしまった…。50オーバーだと確信していたが、想像どおり50オーバーの53cmのチヌ。でも道糸を切って行ったやつは、もっと強烈なモンスターだった。今はそのやつとの再会を夢描いて、足繁く通う毎日である
そしてさらに不幸は続いた。今日はなんだかえらく竿に道糸が絡むトラブルが多いと思っていると、ガイドの一か所に道糸が通っていないことを発見した。ヤレヤレ今さら仕掛けをやり直す気にもなれず、そのままトラブル続きの釣りを続けた。この日の実釣は、平和だったのが最初の30分ほどで、エサが残らなくなってきたと思った頃には、何も残らなくなってしまった。
フグ、フグただひたすらこれでもか! とフグ。フグ&ちょっとの小っぱグレの前に、まったく手も足も出ない状況が延々と続いた。4時間ほど打つ手もない時間が続き、潮がわりを向かえた。潮がかわったことで海の中の様が少しではあるがかわりはじめ、時々ではあるがエサが残るようになった。
そんな矢先、ウキにしっかりとしたアタリが出た。しかし、その魚が一度もこっちを向くこともなく、一度もリールを巻き取ることもできず、「バチー」と高切れしてしまった。ウキもろとも魚は海中に消え、二度と姿を現すことはなかった。魚が取れなかったことも不幸ではあるが、それにもましてお気に入りのウキまで失ってしまった。
そんな、落胆しきった私に、最後に神の手が差し伸べられた。アタリを捕らえた竿は大きく曲がり、やり取りが数分続いた。アミを出して手こずっている私を見かね、近くにいた老人が助けに来てくれた。ちょっとお歳を召された島民のようだった。魚をすくおうとアミを手に奮闘してくれているのだが、アミで魚を追いかける、あげくの果てにはチョウチョやトンボを捕らえるように魚を上から押さえつけてきた。
人の親切を無にはできないと文句も言わず、姿を見ることができたので納得して、私はその魚を諦めていた。だが不幸中の幸いにも、最後にその魚は追い回されて疲れたのか捕らえられた。不幸、惨事の中での唯一の喜びに、私の顔がほころんだ。しかし、取り込みに予想以上に時間がかかり、腕がだるくなるのを、歯を食いしばって頑張ったためか、サシ歯が折れてしまった。
最後まで数々のドラマ、そして不幸と喜びが同居した一日だった。だがそれもそのはずである。この島は1957年に木下恵介監督、松竹が制作、公開した映画「喜びも悲しみも幾歳月」という、灯台を守る灯台守の夫婦を描いた、映画のロケ地となった島であった。
釣友たちが近頃どんどんアジンガー(オジンガー)化して行く現状に戸惑いを覚えながらも、ひとり孤塁を守る覚悟の餌釣り派。オキアミとアミエビの匂いに執着あり?
「日本刀魚」になってしまった宇和海沿岸タチウオ事情
『バスマガジン』のバックナンバーを注文した。私のこの行動を耳にした(メールだから目か?)釣友いわく、
「え? いまごろになって何でまた、バス釣りの勉強なんか始めるの?」
早合点、というヤツである。今回私が注文した『バスマガジン』のバックナンバーを紹介するK談社某誌の広告ページには、各号の以下のような素敵な記事見出しが並んでいる。
新型エアロバス・エアロクイーンデビュー/三菱ふそう大型路線バスMP系オールガイド/バス業界激動の5年間を振り返る/セレガハイブリッド技術解説/日産ディーゼル中型バスオールガイド/大阪近郊の路線バスネットワーク/今日のスタンダードを作り出した新性能バステクノロジー/さようなら姫路市営バス
そう、私が注文した(正確には、知り合いに代行注文してもらった)のは「BASS magazine」ではなく、「BUS magazine」なのであった。当誌のキャッチコピーは「バス好きのためのバス総合情報誌」である。ますます紛らわしい。
ところで、さっき「BUS」を英和辞書でひいてみたところ、この英語には路面を走るバスだけでなく、広い意味で乗り物一般を指し示す意味もあるそうだ。そういえば『エアバス』というジェット機やジェット機製造会社があるよねぇ。
と、ここで、エアバス社のライバル=ボーイング社が先月28日にANAに納入した新型機『ボーイング787』を巡るTVニュース報道のことを思い起こしてしまった。この新型機のウリは、機体の大幅な軽量化をはかるために、従来のアルミに加えて炭素繊維の複合材を新たに採用したところだという。
太刀魚らしいタチウオを見たのは4年前の秋に釣友が仕留めたこの110cm級が最後…いまじゃ日本刀クラスが主流
ん? 炭素繊維? つまりカーボンじゃないの…。ところが…、なのである。この「炭素繊維」について解説、つまりパンピー視聴者にもわかりやすく伝えようとした(んだろうな)アナウンサーいわく、
「この炭素繊維は、強度と軽量性に非常に優れていて、ゴルフのクラブやテニスのラケットといった、私たちの身近な道具の素材としても広く利用されています」
う~ん、もはやこの国では釣り竿は、炭素繊維を使った「私たちの身近な道具」のひとつとしては挙げてもらえぬシロモノになってしまったのだろうか。釣りは、ゴルフやテニスよりもマイナーな趣味になってしまったのだろうか。
秋風に誘われて、9月は何度かタチウオ釣りに行ってきた。ここ数年間、宇和島沿岸で釣れるこの魚の型が、非常に悪化している。体高が指2本前後のものばかり。たまに3本クラスを釣り上げると、「良型ですね!」といわれたりする始末。「太刀はどお?」とメールで釣果をたずねてくる釣友Mの文面が、最近では「日本刀はどお?」にかわった。BUSはBASSと間違えたくせに、こちらは嫌味なほど正確に表現してきやがるのである。
関西を代表するトップエギンガーであり、ライトルアーゲームも得意。フットワークの軽さも特筆もので、大好物のコーラを飲みながら西へ東へ、ロッドとともに走りまわる日々。近況はブログ「弓削ちゃんの今どこ?」でどうぞ
十九の湯【ナイトエギング】試す価値アリ!! 際狙いのショートピッチジャーク
毎度です、弓削です。アオリイカの新子の季節がやって来ました。やわらかくモチモチし、甘みがあっておいしいアオリが狙える季節。私は、親イカ狙わない派です。ただ、取材などで行く場合はあります。でも大型が釣れる初期は、極力避けています。昔、大分県に営業に行ったとき、大分では昔から種(親)イカは捕らないとの話を聞き、「新子を捕らない方がよいのか、親を捕らない方がよいのか」、話をしたことがありました。卵が先か、ニワトリが先か、の話と同じです。で、大分では親イカ優先になりました。
親からはたくさんの子が生まれます。親を捕ってしまえば減少するのはわかります。子イカは、数が多い年は共食いします。アオリイカの成長には「共食いがサイズアップの要因」とも聞きました。だから私は、新子は釣ります。狙いますが、秋は3号がメインです。でも、かわいいサイズはリリースしてあげましょう。なるべくかわいいサイズが掛からないように、3号以上の使用をお願いします。
さて、私は夜のエギングはあまりしません。ライン変化やサイトフィッシングが好きだからです。ただ、知人と行くと夕方から夜明けまでがメインとなるので、漁港などの明かり周りをメインに狙っていました。でも、皆が入る明かり周りは、釣れますがサイズが小さく、人差し指と親指を広げたサイズ(17cm以上)をキープ対象としますが、なかなか釣れません。で、少し考えました。私が暗がりで、釣りができるかどうかです。
ナイトエギングで試す価値アリな、際狙いのショートピッチジャーク。弓削さん曰く「数がとれることは請け合います」とのことで期待大だが、もちろんかわいすぎるサイズが掛からないようにする配慮もお忘れなく
得意なのは昼間の足もとでのショートピッチジャークを使うサイトフィッシング。一番数をとる方法です。海面まで浮かせるとイカがワラワラ出てきて、抱きます。流れが速い場所でも、足もとの際に何かあり、ヨレができる場所の後ろではアオリイカは釣れます。これを夜にするのです。しかし、暗い中では底取りが問題となってきます。そこで、一度底を取り、ショートジャークを何回すれば海面まで餌木を浮かせることができるのか…を調べ、マシーンのように正確に繰り返すことを思いつきました。私にはできるはずです。
最初にヘッドライトをつけ、餌木を軽く前(水深が4~5mなら5mほど沖、水深10mなら10m沖に。そこでフリーで沈めたら、だいたい基礎石のブレイク下に沈められます)にポチャッと落とし、着底まで何カウントかかるかを調べ、覚えます。この際、1秒を数えるには「100と1」「100と2」「100と3」という具合に、前に100をつけると意外と1秒に近くなります。まあ足もとですから、本来の時間と少々狂っても、本人が自分のカウントをとれればOKです。
次に何回シャクリ上げれば海面下まで浮くかを試します。慌てなくてもよいのです。夜はスピードを求めません。規則正しく(私の性格のように清く正しく美しく)ダートさせ、海面下で止めるまでの回数を数えます。海面下なら、目のよいアオリイカが星明かりや月明かりがあれば、下から見ると餌木のシルエットがはっきりわかるのではないか…という配慮です。なお、ロッドは水平保持か若干下がる程度です。これは、足もとから少し離すとアオリイカが安心して抱くからです。アオリイカは意外と外敵に狙われます。際にはガシラやアコウが狙っている場合があるからです。
1~2回の試しで落とし、カウントとシャクリ上げる数の二つ数字を覚え、実行するだけです。夜のお買い物チャンネル並みの手軽さです。で、ヘッドライトを消して実釣です。軽くテストと同じ距離を落とし、沈めるのもカウントです。カウントしたら次は数を読みながらシャクリ上げれば海面下のはず。で、30秒程度待ちます。昼なら浮いてからちゅうちょするアオリイカもいますが、夜は意外にすんなり餌木を抱き、ロッドにグッーと重みを感じるので、ためてサイズを確認して抜くだけです。
取り込んだら少し潮上に移動して、同じことをするだけです。浅くなっていると最初のシャクリ、次のシャクリが軽いので、ヘッドライトをつけてカウントを取り直します。深くなっている場合はラインが最初から張った状態になるので、最初から餌木の感触があります。これもカウントを取り直し、また実釣に戻ればよいのですから、簡単です。夜の際狙いのショートピッチジャークをしている人はまだ少なく、数がとれることは請け合います。まぁウソと思うか、本当の事か、一度試してください。
フライ、ショアジギング、投げ釣り、波止釣り、アユなど、ジャンルが異なる様々な釣りをたしなむ根っからの釣りマニア。釣りバリメーカーに勤務しており、釣りバリへの知識は深い。
実用強度のアップに効果的なフトコロ部の平打ち処理
ハリは強くなければなりません。「強いこと」、そして「鋭いこと」の2つは、釣りバリに求められる基本機能として、ずっとずっと変わることがありません。そこで今回お話しさせていただくのは、強度に関わる「平打ち処理」について。これはハリの実用強度を高めるために行われてきた処理です。
「平打ち」の文字からも想像できるように、平打ちとはハリの軸を平たく打つ(プレスする)処理で、たいていはフトコロ部に施されます。こうすることでハリ軸の断面は真円ではなくなり、おおざっぱにいえば楕円形っぽくなり、真円と比較すれば、曲げや伸びに対して強いハリになります。
左が平打ち加工されたハリ(手研石鯛)、右は平打ち加工されていないハリ(船泳がせ)。釣りによっては平打ち加工がデメリットとなることもある
プレスですからフラットな部分があり、正確には楕円ではないのですが、まぁひとまず楕円形みたいに想像してみてください。強度試験機で測定してみると、仮に同じ2mmの線材(線材とはハリの元の材料です)を使用したとしても、平打ち処理をするのとしないのでは1割以上、ときとして2割の強度差が生まれますから、平打ち処理が実用強度の観点からいかに効果的かよくわかります。
もし、お手元にチヌバリやグレバリ、丸せいご、流線、狐、チンタメバル、袖、山女魚…などのハリがあれば、何でもいいから見てみてください。小さなハリであっても、ほとんどのハリには平打ちが施されていますので。それほど効果的とされる処理といえます。
集魚などを目的に平打ちを応用した胴打ち加工。写真はオーナーばりの落とし込み釣り(関西ではノマセサビキ・チョクリ釣りなど)用の船バリ・剛輝(左)と剛将(右)
ただ、その一方で平打ちにも弱点はあります。それはねじれるような作用に対しては、真円の軸よりも強度が低下することです。またもうひとつ。平打ちの形状により魚の口や身を引き裂きやすく、そのためにバラしを生むことです。この例でいえば、身を切っては釣りが成立しないアユの友釣りのハリには、プレスはまずあり得ません。また口の弱いアジ用のハリにも意図的にプレスしていないものが見受けられます。使い分けの妙ですね。
ほかには平打ちの一種に「胴打ち」といわれるものもあります。これはプレスをハリ軸の特定の場所(おもに軸の胴の部分です)に強く施すことでフラットな部分ができ、魚を誘うきらめきや光の反射効果を目的としたものです。ルアーの「スプーン」が、ハリの軸に一体化しているイメージですね。
この処理はハリ軸の強度保持の観点からすれば、むしろマイナス分しかないのですが、魚を誘う機能のみを追及するなかで、平打ち手法が生かされた一例です。今は平打ちする場所や、平打ちの程度を意図的に処理して、釣りバリに生かされています。
チヌ釣りの超精鋭集団・瀬戸竿鬼会を率いるダンゴ釣りのオニ。地元香川県女木島で一日釣果101匹、愛媛県御荘湾で最大実寸62cmの記録を持つ
抑えきれない情熱が成したダンゴ釣り30年4,500回…夢はまだまだ続く
「ダンゴ釣りを何年やっているのですか?」と、よく聞かれる。「毎日毎日、好きな釣りができてうらやましいですね」とも言われる。たしかに好きな釣りを、毎日毎日続けられるのだから、幸せそうに見えるのかもしれない。それも30年以上も昔から…。しかし、皆さんが想像するほど、見るほどに、決して楽な稼業ではない。お聞きおよびかどうかは定かではないが、私の釣りはチヌ釣りが中心であり、そのチヌ釣りもダンゴ釣りがメインである。そして一年間に約150日を、海辺で過ごしている。
一年の釣行回数が150日で、30年間続けてきたとなると、150日×30年で4,500回もダンゴ釣りをやってきたことになる。ひとつの釣りを30年間も、4,500回も続ければ飽きが生じても不思議ではない。そしていくら好きな釣りだといっても、毎日毎日となると疲れも溜まってくる。まして一年365日の中には、暑い日だって寒い日だってある。当然体調の悪いときも、気のすすまないときだってある。
30度を超えるような真夏の釣りを、いくら好きだといっても3日も4日も続ければ、苦痛になってくる。外に出たくないような寒い日に、いくら好きだからといっても3日も4日もダンゴを握れば、これも苦痛になってくる。気楽に気ままに、一週間に1度か2度の釣りをなさっている、人様の釣りがうらやましくも思えてきたりする。
だが、釣りが仕事だからそんな贅沢も、気ままなことも言ってはおれない。苦しくたって、悲しくたって、人様がうらやんでいただけるように、日々釣りを続けなくてはならないのだ。そんな日々を乗り越えて、30年間もダンゴ釣りを継続するにはかなりのパワーが必要になる。「継続は力なり」というあれである。だが30年の間には、幾度となく竿を置こうと思ったことだってある。
しかしこうして、幾歳(いくとせ)去りて今日あれど、今、現在まで釣りが続けられたパワーはいったいなんだろうか…? ふと疑問に思えてくる。仕事だからといえばそれまでなのだが、そんな軽い気持ちでは30年間も、4,500回も続けられるはずはない。なにかたしかな目標とか、なにかしっかりとした礎がなくては続くはずがない。
サインを頼まれると私が好んで書く文面。抑えることのできない情熱を持ち続けることが、上手になるための近道だと思っている。この情熱を失った時が、釣り人生の終結だとも思っている。そのためにもこんな気持ちを持ち続けたい。幾歳去りて今日あれど、幼き頃の情熱、未だ冷めゆることなし…とわに…
私の場合は、1尾のチヌを釣りたいと夢見た、釣りを始めた頃のような、熱い情熱を、胸躍るような情熱を持ち続けられたことにあるように思えて仕方ない。しかし、その情熱という奴にも段階があって、暇があれば釣りに行こうか…という軽い情熱から、次はなんとか暇を作ってでも釣りに行こう…という情熱に成長して、そして最後に行き着くところは、なんとしても、どげんかしても釣りに行きたいと思う、自分を抑えることのできない情熱となる。
情熱もここまで成長すると、雑用などで釣りに行けそうになくなると、にわかの頭痛や腹痛を頻繁に発病するようになり、その手が見抜かれると、今度は父が急病になり、あげくの果てにはいないはずの姉は天国に旅立ち、母の法要などは一年に数回もあったりした。釣りのため、私の身の回りでは偽りの病人、死人といった犠牲者が多く生まれていった。そう思うと情熱という奴は、成長すればとてつもなく怖い存在なのである。
嘘、偽り、偽装などはペロリとひと呑みにしてしまう。これ全て、抑えきれない情熱が成せる技なのである。だがこんなバカな私に対して嫁はなんの文句も言わない。それどころか、「男たるもの何かに夢中になるからには、人様から××バカと言われるような情熱を失わないで…」と言う。激と受け止めればよいのか、はたまた皮肉ととらえればいいのか、いまだにわからないでいる。
ただくだらない持論ではあるが、私はこう思っている。情熱という奴は常に接していると、知らず知らずの間に心の中に宿るようで、その心の中に宿った情熱は夢を生みだす。そして今度はその夢が情熱をさらに熱いものに変えていくようである。それゆえに情熱に勝る釣技はないと、私は今も頑なに信じている。
釣友たちが近頃どんどんアジンガー(オジンガー)化して行く現状に戸惑いを覚えながらも、ひとり孤塁を守る覚悟の餌釣り派。オキアミとアミエビの匂いに執着あり?
人生初のアジングで身もココロもタチンガー!?
かつて、の●ピーも「だめ。ぜったい。」と呼びかけていたことだし…、私もコレにだけは絶対に手を出すまいと、固く心に誓っていたのだけれど…。以前からずっと、「やってみないか、やってみないか」としつこく誘いの言葉をかけ続けてきた悪い知人の策略に、つい引っ掛かってしまったのであった。
何なんだろう? このフワフワとした奇妙なまでに軽い感覚は…。恐る恐る値段を聞いてみるに、用具だけでも驚くほど高価。イカン! こんなモンにハマってしまったらエライことになる。お金も続かなくなる。「もうやめた!」と告げて、1回こっきりの使用で用具を彼の手に返却した。
竿の自重はたったの70g!? リールのそれは180g!? 恐ろしく軽い。エクソシストだね。あ、イグジストというんでしたか、このリール。
今回、私をアジングの世界にハメようとした下手人、ことFさんのお仕事は美容師。これはあくまでも私の個人的な偏見(?)にすぎないのだけれど、理容・美容カンケーの仕事に従事している人って、かなりマニアックな釣り人が多い、ような気がする。子供の頃に通っていた床屋にも、店内に大物の魚拓が飾ってあるお店が多かった。
手先の器用さとか、細(こま)やかな神経とか、道具に対するコダワリやこまめなメンテ、彼らのそういった資質や経験値の高さが、魚釣りという名の「趣味」とピッタシ合っているのではなかろうか? いや、世のすべての理容・美容カンケー者に釣り師の資質と素養があると言っているのでは決してない。中には釣りがガサツで、ヘタクソな者もいることだろう(苦笑)。
ダイワ・イグジスト2004。ハサミもリールも最高のモノを求めたくなるのが、美容師さんのサガ、なのかもしれない。67,500円。私のアジ釣り用リールが●台買えてしまうやん…
ただ、釣りがこまめで上手な理容師さん、美容師さんは、きっと本業のほうでも「ええ仕事」のできる人であるに違いない、これだけは言えるだろう。性格同様、ひとクセもふたクセもある我が髪をいじってもらいに、今度お店を訪ねてみましょうかしらん(笑)。
だがその一方で、そんな職業や経歴の持ち主が、そんなことやっててどうする!? 的な事件が、先日うちの近所で起きた。スーパーの駐車場で酒気帯び運転事故を起こしたのは…、市内の自動車教習所の所長で、県内某警察署の元署長の男。「昨晩、家で4、5杯の焼酎を飲んだ。朝まで残っているとは思わなかった」という言い訳には、酒好きの私もあぜん!「事故を速やかに届け出たから」という理由で、この犯人を逮捕せず、書類送検にとどめた警察の対応にも…。ま、身内同士でいつまでも甘えっこしててください。
気分が悪くなってきたので、この話題はここまで。で、その、生まれて初めてのアジングなんだけど…。1回こっきりのソレに食ってきたのは、なんとタチウオ!「アジング仕掛けだと、小アジでもこんなに明確なアタリが出るのか! こんなに引き味もよいのか!」と、つい勘違いしてしまったじゃないの。とりあえず、この下の「筆者プロフィール」の内容は、かろうじて変更を免れた、…のでしょうか?
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